2006 年 4 巻 p. 20-37
1995年におこった阪神・淡路大震災は、アーカイブズ学にとっても画期となる出来事だった。すなわち、災害によって過去の資料が滅失してしてのに対し、資料を救出保全しようという動きがおこなわれ、一方災害そのものの記録や資料を未来に保存してしていこうという動きがはじまったのである。本稿でとりあげるのは、そのうち災害の記録を保存していこうという「震災資料」保存活動である。 この活動は、地震直後から、ボランティアグループ、図書館、行政などさまざまな機関によってはじまった。そして、アーカイブズ学の分野に、何を資料とするか、なぜ資料を集めるか、といった根本的な問いかけを投げかけた。災害とひと、専門家と市民、さまざまな出会いの中で、「震災資料」というアーカイブズが生まれた。