アーカイブズ学研究
Online ISSN : 2434-6144
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論考
先例調査にもとづく市民防災教育を視野にいれた災害アーカイブの立ち上げ
木村 玲欧林 能成
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2006 年 5 巻 p. 94-111

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抄録

被災経験がない市民には、非日常である災害を正確にイメージすることは難しい。長いあいだ大きな災害を経験していない地域の防災力向上には、過去の事例や他地域の事例から災害の実態・教訓を学び、災害文化を地域に継承することが必要である。

災害アーカイブは、未来の災害に備えるために災害・防災活動に関するさまざまな一次的資料を蓄積するだけではなく、一般図書や児童書・映像資料なども収集した資料室的な側面もあわせもつことが効果的である。このような考え方のもと、研究者のみならず地域市民や小中高校生、行政の防災担当者までもが学べる、災害・防災に関する各種資料を集積した「災害アーカイブ」を、東海地域の基幹大学である名古屋大学にて2003年4月から立ち上げている。

本報告では、市民防災教育のための災害アーカイブを立ちあげる過程について報告する。全国にある災害アーカイブ・資料室の先例を分析し、地域防災力向上のための災害アーカイブのあり方を提案した。現在は、市民の要望もあり、インターネットを通した検索システムも整備しており、項目・目次レベルでの言語検索が可能である。

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© 2006 日本アーカイブズ学会
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