抄録
本稿では,2011年7月から2012年6月までの1年間にわが国で発表された臨床心理学に関する研究を概観した。該当期間の研究論文は,「心理的要因と適応の関係(尺度の開発を含む)」,「心理療法等の技法の開発・改善」,「投影法に関する研究」,「青年期の課題」,「中学生・高校生の適応・問題行動」,「女性の生涯発達と家族関係」,「学校における支援・スクールカウンセリング」,「子どもの育ちの支援」,「障害・疾病を抱えた人への支援」,「対人サービスを提供する専門職の精神的健康」の10カテゴリーにまとめられた。教育相談の視点を踏まえながら,それぞれのカテゴリー別に本年度の研究を検討し,研究者が学校現場など臨床的な場に身を置いて,臨床実践に即した研究を行おうとする姿勢が重要であること,調査・実験研究,実践研究に加えて,事例研究による教育心理学的な知見の蓄積を図る必要があること,臨床部門の発展のためには,教育心理学と臨床心理学の積極的な交流が必要であること,欧米だけでなく近隣アジア諸国との交流に目を向けた研究が必要であることを指摘した。