教育心理学年報
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II 教育心理学と実践活動
健全な学校風土をめざすユニヴァーサルな学校予防教育
—免疫力を高めるソーシャル・スキル・トレーニングとソーシャル・エモーショナル・ラーニング—
渡辺 弥生
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2015 年 54 巻 p. 126-141

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抄録
 ソーシャル・スキル・トレーニングやソーシャル・エモーショナル・ラーニングは,もはや,子ども達の社会性や感情の側面のみの成長を視野にいれ,子ども達だけに働きかける単なるアプローチではなくなりつつある。むしろ,学校における問題や想定されるあらゆる危機を予防するユニヴァーサルな支援である。子ども達や学校に関わるすべての人たちの支援だけでなく,安心し楽しく伸びやかに過ごせる学校風土を創成することがめざされているからである。したがって,このユニヴァーサルなアプローチは,比喩的に言えば,学校危機が生じても予防できる回復力や免疫力を持てるように導入されつつある。近年,こうした背景を受けて,向社会性をめざした「より良い(prosocial)」や道徳教育に焦点を当てた「より善く(moral)」だけでなく,学校スタッフすべての至福(Well-being)を掲げる「より健康に(healthy)」をめざすようになっている。学校予防教育は,今後ますます健全な学校風土に必要不可欠である学習環境を確立し保持していくために,包括的な教育実践に発展していくであろう。
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© 2015 日本教育心理学会
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