2017 年 56 巻 p. 8-23
本稿では,2015年7月から2016年6月までの1年間に発表された,日本における乳幼児期と児童期を対象とした研究を概観した。対象とした主な研究は,『教育心理学研究』『発達心理学研究』『心理学研究』『Japanese Psychological Research』『日本教育心理学会第58回総会論文集』に掲載されたものである。日本教育心理学会第58回総会においては,乳幼児期,児童期ともに昨年度と同様,「他者とのかかわり」を研究テーマに含む研究発表が多い傾向がみられた。本稿では,論文の著者が「どのような他者とのかかわりを想定しているのか」を筆者なりに推測し,幼児期と児童期の研究を分類した。最後に,幼児期と児童期の研究の共通性と相違点について考察し,今後の展望について述べた。