本稿では,2020年7月から2021年6月までの1年間に発表された,日本における乳幼児期と児童期を対象とした研究の概観を行なった。対象は,2020年7月から2021年6月までに『教育心理学研究』,『発達心理学研究』,『心理学研究』,Japanese Psychological Researchに掲載された研究論文と,2021年に開催された日本教育心理学会第63回総会の「発達部門」のポスター発表である。第63回総会の全体的な特徴を分析した後,子どもの発達の社会的文脈に着目し,(a)対人関係の文脈に関する研究,(b)家族の文脈に関する研究,(c)学級・学校の文脈に関する研究,(d)複合的な文脈に関する研究の4つのトピックから,学会誌論文の概観を行なった。その結果を踏まえ,研究方法,参加者のタイプ,理論の重要性などの観点から今後の方向性を議論した。