2022 年 61 巻 p. 29-44
本稿では,2020年から2021年に『教育心理学研究』に掲載された論文と,2021年8月に開催された日本教育心理学会第63回総会で発表された研究を中心に,近年の教授・学習・認知研究を概観した。レビューの視点として「協働学習」に着目し,学習者,教師,学習デザインに関連する研究に分けて整理を行った。その結果,いずれの区分でも協働学習に関する研究は蓄積されていることが示された。また,今後の展望と課題として学習者に関しては協働学習を通じて何が育まれるのかを長期的に明らかにすること,教師に関しては協働学習で扱う課題を生み出す実践的知識について明らかにすること,学習デザインに関してはより柔軟な協働学習のデザインとその中での学習者の学びを明らかにすることが整理された。