アレルギー
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気管支喘息患者における室内塵抗原液の皮内反応陽性限界濃度(閾値)の研究
石崎 達信太 隆夫梶野 宗幹牧野 荘平伊藤 幸治
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1964 年 13 巻 4 号 p. 183-187,282-28

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抄録

提供の室内塵(house DUST)抗原の内, 作製原料を異にするロットNo.110とNo.320を用いて皮内反応閾値を測定し相互比較により力価検定を行った.閾値測定には倍々稀釈系列を使用した.次にこの閾値と気管支喘息病型及び肺活量1秒率減少を目標にした吸入誘発試験, アセチルコリン吸入試験等との関係を追求した.研究成績は下記の如くである.1) 1000倍抗原液のロット別皮内反応の大きさの頻度分布図は略相位で膨疹直径9mm, 紅暈直径20mmの基準を何れか一方で越える陽性率はNo. 110が37.5%, No. 320が56%であった.又両ロットの1000倍液反応を同一人につき実施して, 両ロット反応の相関図を作ると実測点はちらばるが, 高い相関を示し両ロット同等と考える.2) 同一人に実施した両ロットの皮内反応陽性閾値(陽性反応最少濃度)を比較すると, 稀釈度の対数(x, y)で現した相関図上で実測点は原点を通る45度線に平行な線を中心に分布し, この線はΣ(x-y)=Σa, f=n, log A=(Σa)/xを満足するA点でX軸を切る線として求められる.この方法でA=1.82を示し.No. 320はNo. 110の略々2倍の力価を有することが分かった.3) No. 110の皮内反応閾値は年令, 性別とは無関係であるが, 肺のアセチルコリン感受性(肺活量1秒率減少)とは正相関を示した.4) 病型に分けて比較すると, 鼻型は皮内反応閾値, アセチルコリン感受性共に過敏性を示し, 気管支型はこの逆で両者は判然と2分された.5) 誘発反応陽性例はいづれもアセチルコリン感受性高く, 皮内反応閾値も低濃度(過敏)であった.

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© 1964 日本アレルギー学会
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