アレルギー
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花粉アレルギー : 減感作療法の検討(小児ブタクサ喘見)
塩田 浩政三島 健中島 克富田 有祐稲藤 良子飯倉 洋治荒井 康男城 宏輔
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1970 年 19 巻 10 号 p. 731-738,800

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抄録

小児アレルギーの研究会に属するわが国の主要施設の協力をえて, ブタクサもアレルゲンの1つとして有害的に働いていると考えられる喘息児131名を集計しえた.これら患児は関東南部より九州に至る間に分布していた.男女比は4:1, 学童に多く, 全喘息患児の2〜3%を占めていた.減感作療法の方式は継続的が76%, 季節前11%, 季節中13%であった.ブタクサの抗原の最高濃度は1:100〜1:1000(W/V)を使用したものが大部分であった.著者らは有効な季節前療法の探究と, 季節中療法の有効機序の解明についてレアジン, 遮断抗体, 及び患児白血球が抗原に接した際のヒスタミン遊離等の3つを示標として研究した.その結果, 病歴, 皮膚試験, 経過及び誘発試験よりブタクサ喘息であることが明らかでかつ詳しく追及しえた6名(過去にグタクサ抗原の減感作をうけたことがない)を4カ月間にわたり季節前療法を行い, 内2名は生食水を注射して対照とした.上記3示標と臨床症状の変動との間に相関がなく, 実験群と対照群との間にも有意の差がなかった.すなわち今回投与した抗原量(630〜2,300平均1,460PNU)では不充分で, 更に多量の抗原を与える必要があることが示唆された.季節中療法はPhillop, Levinの方法に準じてブタクサ喘息児10名について行った.この場合はレアジン及び遮断抗体と臨床症状の変動との間に相関はみられなかったが, 白血球からのヒスタミン遊離率の消長と, 臨床症状の変動(軽快, 増悪)との間に相関を示したものが6名みられた.

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© 1970 日本アレルギー学会
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