合成ACTHにより誘発された喘息発作の2例を経験したので報告する.症例1は62才の男子で, 昭和34年頃より気管支喘息に罹患した.昭和46年12月より合成ACTH-Zによる長期療法を行った.昭和48年2月, 副腎皮質機能検査のために合成ACTHの静注を行った直後に重篤な喘息発作をきたした.合成ACTHによる皮内反応は経過中4回行ったが, すべて陰性であった.症例2は17才の男子で, 昭和39年頃より気管支喘息に罹患した.昭和47年1月より合成ACTH-Zによる長期療法を行った.昭和47年12月までの治療中に, 合成ACTH-Z筋注および合成ACTH静注の直後に喘息発作を計4回きたし, 第4回目のそれはきわめて重篤であった.合成ACTHによる皮内反応は陽性であったが, その反応は弱く, かつ, Prausnitz-Kustner反応および眼球結膜反応はともに陰性であった.この合成ACTHによる喘息発作発現の機序については明らかではないが, 免疫学的機構を介さないで起こるアレルギー様症状であるとの可能性も否定はできないと推論された.