アレルギー
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自己免疫性疾患における白血球遊走阻止試験に関する研究 : 第3編 自己免疫性溶血症における赤血球膜に対する白血球遊走阻止試験
沖本 芳春
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1974 年 23 巻 9 号 p. 589-593,635

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抄録

特発性自己免疫性容血症6例, 全身性エリテマトーデスに合併した症候性自己免疫性溶血症1例, 直接 Coombs 試験陰性の溶血症の合併した肝・甲状腺炎症候群(深瀬, 伊藤)1例, Hodgkin 氏病に合併した溶血症1例, 発作性夜間血色素尿症1例, 計10例を対象とし, 正常人13例を対照として, ヒトO型赤血球膜を抗原とし, 白血球遊走阻止試験 (leukocyte migration test, LMT) を実施し, 次のごとき成績を得た.1) 正常人における遊走指数 (mean±2SD) は102±16%であり, これを正常域とし, Sφborg らの判定方法に準じ, 検査対象患者における遊走指数が正常域以下の場合を LMT 陽性, 正常域以上の場合を弱陽性とした.2) Coombs 試験陽性の自己免疫性溶血症では, LMT は7例中1例が陽性, 3例が弱陽性を示した.このうち経過を追って LMT を行った1例では, 治療前に LMT が弱陽性であったが治療後には陰性化した.3) 肝・甲状腺炎症候群に合併した直接 Coombs 試験陰性の溶血症で, LMTは弱陽性であった.4) Hodgkin 氏病に合併した Coombs 試験陰性の溶血症および発作性夜間血色素尿症では, LMT はいずれも陰性であった.5) 症例全体を通覧すると, 溶血の程度と LMT の結果は必ずしも一致しなかった.以上の成績から, 原因不明の溶血症ならびに自己免疫性溶血症の成因としては, 血中抗体のみならず一部の症例では細胞性自己抗体の関与を考慮する必要があるとの結論を得た.

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© 1974 日本アレルギー学会
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