アレルギー
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血清 IgE 値の各種呼吸器疾患における比較と気管支喘息での変動について
山口 道也
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1975 年 24 巻 2 号 p. 120-132,144-14

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抄録

各種呼吸器疾患 787例, 非呼吸器疾患 35例および健常者 19例, 計 841例を対象として, indirect single radial immunodiffusion method で血清 IgE 値を測定し, とくに気管支喘息, 鼻アレルギーなどについては, 減感作療法その他の治療による IgE 値の変動について検討し, つぎの結果をえた.1. 健常者の血清 IgE 値は 340 unit/ml 以下であった.2. 肺襄胞症, 慢性間質性肺炎, 気管支喘息および鼻アレルギーでは, IgE 値は明らかに増加した.肺サルコイドーシス, 気管支拡張症, 肺気腫, 肺結核症, 肺癌および慢性気管支炎例でも, 高値を示す例もみられたが, 各疾患群の間および平均値的には, 健常群との間に有意の差はみられなかった.3. 気管支喘息では, atopic type(P<0.001)および mixed type(P<0.001)では明らかに増加がみられたが, idiopathic type は健常群との間に有意の差はみられなかった.減感作療法では, HD による長期減感作群で血清 IgE 値は明らかに低下した(P<0.001).corticosteroid 剤は, 短期間の使用では IgE 値に影響はないが, 長期投与では血清 IgE 値は低下がみられた(P<0.02).金療法でも, 血清 IgE 値は低下する傾向を示した(P<0.02).disodium cromoglycate, ヒスタミン+γグロブリン製剤および気管支拡張剤では, 血清 IgE 値の変動はみられなかった.

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© 1975 日本アレルギー学会
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