アレルギー
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気管支喘息と甲状腺機能亢進症 : 5症例を中心とした臨床的検討
古川 充中沢 次夫笛木 隆三小林 節雄竹村 喜弘
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1975 年 24 巻 2 号 p. 133-138,145

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抄録

気管支喘息の気道過敏性の原因として β-adrenergic blockade 説, すなわち喘息患者の気道はカテコールアミンに対する反応性が低下していることをはじめ, いくつかのβ-adrenergic 効果の低下があるとされている.一方, 甲状腺機能亢進症では交感神経のβ受容体機能亢進があるとされている.今回, われわれは, このようにβ受容体機能の異なる上記2疾患を合併する例について病歴を中心とした臨床的検討を行った.両疾患の合併例は5例で, そのうち3例は甲状腺機能亢進に対する治療, 改善後に気管支喘息の悪化が認められ, 両者の間にはいわゆるシーソー現象がみられた.1例は甲状腺機能亢進状態の改善とともに喘息症状も軽快した.のこる1例は甲状腺機能状態改善と気管支喘息の経過とは無関係と思われた.これら2疾患の相互関連が臨床的に明らかな症例が存在することを述べ, その機序について文献的考察を行った.

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© 1975 日本アレルギー学会
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