アレルギー
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小児の気管支喘息における洗浄喀痰細菌叢に関する研究
上原 すゞこ寺島 周野本 泰正松村 芳子岸本 圭司劉 雪華久保 政次
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1976 年 25 巻 7 号 p. 583-593,602

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抄録

小児の気管支喘息における下気道感染の関与を検討するため, 1968-1972年に来院した282症例(小児期喘息244, 乳児期喘息38)を対象として洗浄喀痰細菌叢を検査した.1) 469検体の洗浄喀痰の細菌検出率では健康小児の咽頭細菌叢に比して上気道常在菌が低く, Pneumococcus, Haemophilusが高かった.2) 病原菌は主体菌として小児期喘息では423検体中32.4%, 244症例中39.8%, 乳児期喘息では46検体中34.8%, 38症例中36.8%からみいだされ, Haemophilus(1例を除きH.infuenzae)とPneumococcusが主で, グラム陰性桿菌, S.aureusは遥かに低率であった.3) 洗浄喀痰細胞像では, 病原菌(ことにH.influenzae)が主体菌をなしている洗浄喀痰に好中球増多を高率に認めた.4) 喘息発作期には約1/3に洗浄喀痰中病原菌を主体菌として認め, 主にH.influenzaeとPneumococcusであった.5) 発作・非発作両期に喀痰を採取できた61例中, 下気道細菌感染は発作期のみ32.8%, 発作・非発作期とも27.9%, 非発作期のみ6.5%に認められた.

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© 1976 日本アレルギー学会
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