新化合物2, 4-bis(2'-acetoxybenzamido)-benzoic acid(AB-50)の抗アレルギー作用について検討した.AB-50はラットIgEにより誘起されるpassive cutaneous anaphylaxis(PCA)に対する阻害作用を示し, 抗原注射の30分前に経口投与した場合, 本反応を100-1000mg/kgの投与量範囲で投与量依存性に阻害した.また, 直接十二指腸内に注入した場合には20mg/kgの投与量で顕著な阻害作用が認められたが, 胃内に注入した場合には100mg/kgでもほとんど効果が得られなかった.なお, 経口投与の場合でも十二指腸内投与でも抗原注射の30分前に投与するのがもっとも効果的であった.さらに, AB-50はモルモットにおけるIgGによるPCAに対しても経口投与あるいは動脈内投与で阻害作用を示した.しかし, disodium cromoglycate(DSCG)は同反応に対してまったく影響を与えなかった.また, ラットおよびモルモットにおける全身性アナフィラキシー・ショックに対してAB-50は, 10-40mg/kgの投与量(静脈内)で抑制作用を示した.AB-50はヒスタミン, セロトニン, ブラジキニンなどのケミカル・メディエーターに対して直接的拮抗作用を示さず, また抗炎症作用も有していない.これらの事実, ならびにAB-23が肥胖細胞からのアナフィラキシー性ヒスタミン遊離を阻害するという前報での実験成績から, AB-50の作用様式はDSCGと類似していることが示唆された.しかし, AB-50はDSCGとは異なり, IgGによる即時型アレルギー反応に対しても阻害作用を示し, 経口投与でも効果を発揮する.
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