1977 年 26 巻 9 号 p. 631-639,672
in vitro での抗体産生におけるマクロファージの役割, 特にマクロファージから遊離すると考えられる可溶性因子の性状を知るため実験を試みた.一定数のリンパ球に種々の数の抗原を取り込んだマクロファージを加えると, その数に従って抗体産生の大きさは変動した.この変動はマクロファージに取り込まれた抗原の量によって支配されているのでなく, マクロファージの持つなんらかの生物活性に依存していることが示唆された.この活性は抗原非特異的であり, チオグリコレート刺激のマクロファージの培養上清により置き換えうるが, 非刺激のマクロファージの培養上清にはこのような活性はなかった.チオグリコレート刺激のマクロファージに抗原を加えて得た上清には非特異因子の活性とともに, 抗原に対して特異性を持つ因子の活性がみられた.非特異因子は非免疫リンパ球のみならず, 免疫リンパ球にも有効に作用し, その活性は組織適合性にかかわりなく同種異系のリンパ球にも有効であった.抗原特異因子の活性は, 同種系の免疫リンパ球に対してはみられなかった.