気管支喘息の遅発型気管支反応の発症機序は明確とされていない.これを探る1つとして, われわれはカンジダアレルゲンを用いて吸入誘発試験を行い, 遅発型気管支反応を呈した12名(A群), 誘発陰性喘息患者8名(B群), 健常者7名(C群) の3群につき, IgE 抗体, IgG 抗体などの各種抗体の検索を行った.IgE 抗体はサルの PCA 反応を用いて行ったがA群66.6%, B群37.5%, C群0%であった.異種モルモット PCA 反応を用いた IgG 抗体についてはA群58.3%, B群25%, C群0%であった.また Ouchterlony 法を用いて検索した沈降抗体はA群75%, B群37.5%, C群0%であった.Parish の提唱した IgG S-T S(short-term sensitizing IgG antibody)はA群の3例(23.3%)にのみ検出され, 他群では検出されなかった.また, MIF(macrophage migration inhibition factor)活性はA群とB群との間に差がみられなかった.A群について症例別に上述の成績をみると, 即時型アレルギーに属すると思われる抗体(IgE抗体, IgG S-T S 抗体)のみを有する例は2例(16.6%)であり, 非即時型アレルギー抗体(IgG抗体, 沈降抗体)のみを有するものは3例(23.3%)であり, 大部分(61.1%)は両者とも有する混合型であると思われた.
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