アレルギー
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ニュージーランドマウス胸腺上皮細胞の機能に関する研究(第1報)
御木 達也蓑田 正豪堀内 篤
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1978 年 27 巻 10 号 p. 810-814,821

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抄録

NZB マウス TRC の機能異常を, nu/nu マウスを用いて, T-cell differntiation および移植腫瘍細胞に対する拒絶反応を指標として検討した。NZB マウスおよび対照 ICR マウスから採取した培養 TRC (5×10^5, 2.5×10^6)を nu/nu マウス腹腔内に移入して1週間後, C3H マウス由来乳癌細胞(それぞれ1×10^6, 1×10^7)を皮下移植し, 40日後に腫瘍の大きさ, Thy 1陽性脾細胞, NTA を検討した。対照として TRC の代りにマウス線維芽細胞を用いた。5×10^5個の TRC を移入すると NZB 例では Thy 1陽性脾細胞は正常域まで回復し, 半数例が腫瘍を拒絶した。2.5×10^6個の TRC を移入すると, ICR 例は1×10^7の腫瘍細胞を完全に拒絶したが, NZB例では5例中2例のみが拒絶された。対照線維芽細胞例では Thy 1陽性脾細胞の上昇はなく, 全例腫瘍が発育した。以上の結果から, NZB-TRC は Thy 1 determinant を賦与する能力はかなり保持しているが, T-deficient マウスに対する細胞性免疫再建能が劣っていると推察された。

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© 1978 日本アレルギー学会
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