アレルギー
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テオフィリンの臨床薬理学的研究 : 第2報 テオフィリンPharmacokineticsの臨床応用
洞井 由紀夫石崎 高志可部 順三郎渡辺 誠
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1980 年 29 巻 5 号 p. 203-210

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抄録

喘息患者40例, 心不全合併患者7例について, テオフィリン1回投与試験(Loading test)を実施し, 生体内動態を解析し, 得られた動態値に基づいて有効血中濃度を満たすように至適な投与設計を行った.また, くりかえし投与開始後, steady-state状態に達してから最小(次回投与直前)濃度を実測し, 予測値と比較検討した.テオフィリンの血中濃度測定は高速液体クロマトグラフィーにより行った.分布容量は気管支喘息患者群と心不全合併患者群との間に差はなかった.半減期についてはそれぞれ7.8±0.4hr, 17.4±1.7hr(平均値±標準誤差)と有意な差(p<0.001)で心不全合併患者群で延長していた.クリアランスについてもそれぞれ0.038±0.002l/kg/hr, 0.016±0.001l/kg/hrと有意(p<0.01)に心不全合併患者群で低下していた.われわれの研究データは, 10μg/mlを達成するための初回負荷量はアミノフィリンとして4.5-5.0mg/kg, 維持量は気管支喘息患者では0.46mg/kg/hr, 心不全合併患者は0.20mg/kg/hrから開始し, 臨床効果に合わせて投与量の調節をするべきであることを示唆している.さらには, くりかえし投与後のCminの予測は多くの患者の実測値と一致し, 74%の患者が有効血中濃度を満たしたことから, 上記の投与方法は多くの患者に有効であると考えられる.喘息の至適テオフィリン治療には臨床薬物動態理論にに基づく投与設計の応用がきわめて有益であると結論される.

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© 1980 日本アレルギー学会
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