アレルギー
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リンゴ花粉症の疫学的研究
沢田 幸正
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1980 年 29 巻 6 号 p. 293-305

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抄録

リンゴ栽培に従事する成人218名を主対象にリンゴ花粉症に関する疫学調査を行い, 皮内反応疑陽性以上, PK反応・誘発試験陽性, RAST score 1-3の5名(2.3%)をリンゴ花粉症と診断した.この結果, 推計学的にリンゴ栽培従事者全体の0.4-4.2%(信頼限界95%)にリンゴ花粉症が存在するものと推測される.花粉症と診断した5名に対し, 経時的にRAST, RIST, 血中好酸球値を測定した結果, RAST値は抗原接触前には低値であったものの, 抗原接触期間(人工受粉作業時間)には著明な上昇がみられ, その後一時値が低下し, 3名は抗原接触前よりも高値を維持する傾向がうかがえた.また, 皮内反応閾値との間に有意の正相関を示し, 抗原接触期間中のRASTはPK反応, 誘発試験の結果と一致した.RIST血中好酸球値は抗原接触時期に一致して値が上昇するものと, それ以降に値が上昇するものとがみられた.

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© 1980 日本アレルギー学会
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