1983 年 32 巻 6 号 p. 317-323
古くから喘息や気管支炎などの治療に用いられてきた柴朴湯のIV型アレルギー反応の抑制作用機序について検討した.ヒツジ赤血球(SRBC)によるマウスの遅延型足蹠反応は, 抗原誘発6時間後および16-20時間後の柴朴湯の経口投与によって有意に抑制され, 誘発18時間後の投与では用量依存的に抑制された.picryl chloride (PC)による細胞性免疫に対して, 柴朴湯の経口投与は, 一次および二次免疫応答のいずれにも影響を及ぼさなかった.また, SRBCによる細胞性免疫応答も柴朴湯の投与によって影響がみられなかった.一方, prednisoloneはPCおよびSRBCによる細胞性免疫応答のいずれをも有意に抑制した.抗原によるBCG感作モルモットリンパ筋細胞からのlymphokine (skin reactive factorの活性を指標とした)の遊離は, 柴朴湯によって軽度抑制の傾向がみられるにすぎなかったが, 正常モルモットにlymphokineを皮内注射して生ずる紅斑は, lymphokine注射1時間前の柴朴湯の経口投与によって有意に抑制された.以上の成績から, 柴朴湯はeffector phase, 特にlymphokineによる炎症を抑制してIV型反応を抑制することが明らかである.