1984 年 33 巻 11 号 p. 940-950
成人気管支喘息患者のEIBL (% rise+% fall)の成因について検討する目的でbicycle ergometerによる運動負荷を行い, 負荷中及び負荷後のPEFRを経時的に測定し, 負荷前及び負荷終了5分後に採血し静脈血中の血漿ヒスタミン, 血漿カテコールアミンを測定し, PEFRの% riseと負荷前後の血漿カテコールアミン変動率との関係, % fall (ELB)と負荷前後の血漿カテコールアミン変動率, 血漿ヒスタミン変動率との関係, 及び% rise, % fallとアストグラフを用いたメサコリン吸入による気道過敏性(Dmin)との関係を検討した.負荷中のPEFRは対照群, EIB陰性群, 陽性群の全例で上昇し, % riseは陽性群, 陰性群, 対照群の順に高かった.% rise 及び% fallと負荷前後の血漿カテコールアミン変動率は有意の相関を認めなかった.負荷前後の血漿ヒスタミン変動率はEIB陽性群で最大であった.% fallと気道過敏性との関係では% fallが大きいほど気道過敏性は, 高い傾向であったが, % riseとは明らかな相関は認めなかった.これらの結果より% riseの成因としてはカテコールアミン以外の影響が考えられ, mast cellからのchemical mediator遊離がEIBの成因に関与している可能性が示唆された.