1986 年 35 巻 10 号 p. 1022-1027
小児花粉症の実態を明らかにするため, 長野県松川町の松川中学校全生徒590名を対象に, アンケートおよびRASTによる疫学的調査を行った.その結果, 推定花粉症罹患率(症状, RASTがともに陽性の者の比率)はスギ花粉症9.2%, イネ科花粉症15.6%, リンゴ花粉症2.9%であった.先に調査を行った成人の花粉症罹患率は30歳代が最も高かったが, 今回の結果はそれよりわずかに低いのみであった.中学3年生で, RASTのみ陽性で症状のみられない者がスギで3.6%, カモガヤで9.7%と少なからずみられ, この地域では今後も加齢とともに, さらに罹患率が高くなる可能性も示唆された.