アレルギー
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遅発性喘息反応時に観察される血中低コーチゾル状態の発現機序についての検討
中沢 次夫松井 茂斉藤 明梅枝 愛郎吉江 康正笛木 隆三小林 節雄
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1986 年 35 巻 12 号 p. 1163-1169

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抄録

我々はLARの発作発現時に血中コーチゾルレベルが低下する事実を見い出し, この事実がLARの病態発現と何らかの関連性を持ちうる可能性を示唆した.今回はLARを呈した喘息患者の吸入試験前後の継時的な血中ACTHレベルの測定, および非発作時におけるrapid ACTH testを行い, LARの発作時の低コーチゾル状態を発現させる原因が下垂体副腎系に存在するか否かを検索した.1.血中ACTHレベルは, LAR, DAR群のLAR発作時に軽度が減少したが日内変動に比し有意ではなく, またIAR群でも日内変動内の変化であった.2.rapid ACTH testではACTH注射後60分の血中コーチゾル値は各群ともほぼ正常範囲内であったが, 3群間の比較ではLAR, DARの両群ではIAR群に比しやや低値であり, また前値に対する上昇比でもLAR群は他群に比し低値を示した.これらの結果はLARの発作時に伴って観察される低コーチゾル現象の一部は, 下垂体あるいはそれより中枢の障害によってではなく, 副腎自体の予備能の低下に起因する可能性を推測させた.

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© 1986 日本アレルギー学会
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