1986 年 35 巻 5 号 p. 356-366
紫外線照射influenza virusで感作したヒト単核球培養上清(virus-sup)の好中球および好酸球の機能に及ぼす影響を検討した.好中球の機能, すなわち, zymosan活性化血清に対する遊走や, opsonin化zymosan刺激によるsuperoxide anion産生, さらにperoxidaseをはじめとしたlysozome酵素の遊離は, virus-supとの前培養により著明に亢進した.virus-sup前培養の促進効果は, 好中球上の補体レセプター発現の増強を通じて仲介されると推測した.一方, 好酸球での上述した機能は, virus-supとの前培養で逆に低下した.好中球や好酸球の機能に対するvirus-supの効果は, 抗interferon抗体により吸収され消失し, 逆に, 白血球, 線維芽細胞由来のinterferonで細胞を前処理することによっても再現できた.ヒトIgGを結合させたSepharose 4Bビーズ刺激好酸球からのSRS-A産生量は, interferonとの前処理により増大し, このinterferonの亢進効果は, 前培養された好酸球でのperoxidaseやH_2O_2遊離量の減少に関連すると考えられ, さらに, この減少は好酸球上のFcγレセプター発現の減少と関連すると考えられる.以上のことから, influenza virus感染に際して単核球から産生されるinterferonが気管支喘息をはじめとしたアレルギー症状を悪化させる可能性が示唆された.