アレルギー
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メチルプレドニゾロン静注療法中, 重症の蕁麻疹に伴い慢性腎不全の急性増悪をきたした慢性関節リウマチの1例
猪熊 茂子宮下 岳夫木佐木 友成杉山 温人中野 啓一郎
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1986 年 35 巻 7 号 p. 461-466

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抄録

症例は59歳, 女.40歳発症のRAで, 51歳の時金療法を受けたが腎障害で中止.同年より時に蕁麻疹, 53歳より乾燥症候を伴った.NSAIDと少量のsteroidにて治療されるが, 関節変形, ADL制限が進行し, 56歳で右TKR, THR, 58歳で左TKRが予定されたが腎障害で中止.同年活動性erosive arthritis治療の目的で入院.Hb7.1g/dl, ESR 103mm/hr, CRP 4+, BUN 56mg/dl, Cr 2.3mg/dl, 尿所見異常なし.methylprednisolone 500mg (pulse)の週1回静注を3回まで施行したところ, 翌日より重症の蕁麻疹出現, 血圧低下, 尿量減少し, BUN 112mg/dl, Cr 5.1mg/dlと上昇, Hb 8.5g/dlと血液濃縮を伴い腎前性腎不全と考えられた.蕁麻疹は持続し, 第4回pulse後, PSL 40mg点滴にて約10日後にようやく消腿, これと共に腎障害も軽快した.pulseによる蕁麻疹の報告はいずれも全身 anaphylaxisとしてのものであり, この例のように蕁麻疹のみが遅発した例は見当たらず, 原因は特定できなかった.しかし激しい蕁麻疹が血管内脱水による腎障害を生じたと考えられる稀な例であった.また活動性のRAはその後1回計5回のpulseにより少なくとも5カ月間寛解した.

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© 1986 日本アレルギー学会
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