アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
福岡市におけるスギ・ヒノキ科花粉飛散の年次変動と気象条件 : スギ・ヒノキ科花粉飛散予報
岸川 禮子長野 準勝田 満江宗 信夫
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 37 巻 6 号 p. 355-363

詳細
抄録

福岡市において1972年より現在までDurhamの標準花粉検索器を用いて空中花粉調査を行っている.スギ・ヒノキ科の飛散花粉が最も多く, スギはおおよそ2月-3月, ヒノキ科は3月-4月に飛散している.花粉飛散量と飛散開始時期が毎年著しく変化する.気象条件との関係を検討した結果, 飛散量は前年度7月の月平均気温(r=0.878, p<0.001), 飛散開始日はその年度1月の月平均気温(r=-0.765, p<0.001)と最も高い相関を示した.一方, スギ・ヒノキ科花粉によるスギ花粉症新患者数(九大耳鼻科外来)とスギ・ヒノキ科花粉飛散量の年次変動はほぼ平行している(r=0.906, p<0.01).スギ・ヒノキ科花粉を一括した飛散花粉の予報はある程度可能で, 臨床家や患者にとって重要な情報となると考えられる.

著者関連情報
© 1988 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top