1990 年 39 巻 1 号 p. 6-11
気管支喘息患者におけるsubstance P(SP)に対する皮膚反応性を調べるため, 気管支喘息患者(n=12)と健常人(n=9)にSP(10^<-7>〜10^<-5>M)を皮内投与し, 両者の紅斑および膨疹形成能を比較検討した.気管支喘息患者ではSPによる紅斑および膨疹が健常人に比し有意に大きかった.またSPのN末端ペプチドであるSP_<1-9>による紅斑および膨疹も気管支喘息患者で健常人に比し有意に大きかった.しかしC末端ペプチドのSP_<6-11>およびneurokinin Aは膨疹のみしか惹起せず, しかも両者間で有意の差を認めなかった.以上から気管支喘息患者ではSPによる皮膚反応性が健常人に比し亢進していた.これら反応性の差が皮膚肥満細胞を活性化するSPとSP_<1-9>のみで認められたことから, 特に気管支喘息患者の皮膚肥満細胞のSPに対する反応性の亢進が示唆される.