アレルギー
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ヒト末梢血白血球におけるNeutral Endopeptidase活性の検討
木村 亮岩本 逸夫落合 賢一中川 典明冨岡 玖夫吉田 尚
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1990 年 39 巻 3 号 p. 307-312

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抄録

neutral endopeptidase(NEP;EC 3. 4. 24. 11)は神経ペプチドを効率よく水解する酵素の一つである.神経ペプチドによる白血球活性化の調節機序を明らかにするため, ヒト末梢血白血球分画(単核球, 好中球, 好酸球, 好塩基球)におけるNEP活性の分布を調べた.NEP活性はNEP阻害剤phosphoramidon(1×10^<-6>M)で抑制されるMet^5-enkephalin水解活性としてHPLCにて測定した.また最近NEPのアミノ酸配列とcommon acute lymphoblastic leukemia antigen(CALLA)のそれとの同一性が示唆されたため, 3種の抗CALLA抗体を用い白血球各分画におけるCALLAの分布をFACSにて検討した.その結果, 末梢血白血球では好中球にのみ有意のNEP活性(59.0±9.1pmol/分/10^6enkephalin水解活性)が認められたが, 単核球, 好酸球, 好塩基球にはNEP活性は認められなかった.またCALLA抗原も好中球にのみ陽性で, 他の白血球は陰性であった.以上からヒト末梢血白血球では好中球のみがNEP活性を有した.好中球における神経ペプチドによる活性化の調節にはNEPが関与する可能性が示唆される.

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© 1990 日本アレルギー学会
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