アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
モルモット実験喘息モデルにおける遅発型喘息反応の発現と気道反応性亢進のCyclosporin Aによる抑制
福田 健阿久津 郁夫沼尾 利郎本島 新司牧野 荘平
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 39 巻 5 号 p. 483-487

詳細
抄録

著者らは, T細胞に選択的な免疫抑制剤であるCyclosporin A(CyA)は, モルモット喘息モデルにおける抗原吸入24時間後をピークとする持続性の気道粘膜内好酸球浸潤を抑制することを既に報告している.本研究では, CyAによる前処置が, 遅発型喘息反応およびそれに続く気道反応性の亢進にどのような影響を与えるか検討した.吸入感作モルモットを内因性コーチゾル阻害剤および抗ヒスタミン剤で前処置して, 大量の抗原を吸入させると, 高率(80%)にLARが起こり, 抗原吸入24時間後のアセチルコリンに対する気道反応性も亢進した.一方, モルモットを感作開始時よりCyAで処置すると, LARの発現は抑制された.24時間後の気道反応性はCyA処置群でも亢進したが, 変化の度合いは無処置群に比べ有意に小さく(p<0.05), 気道反応性の亢進も部分的にであるが抑制されることが示された.CyAはモルモットにおいても, T細胞の活性化を抑制し, リンホカインの産生を抑制することが知られているので, これらの結果は, LARの発現やそれに続く気道反応性の亢進においてT細胞由来の因子が何らかの役割を果たしていることを示唆する.

著者関連情報
© 1990 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top