アレルギー
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気管支喘息患者の吸入療法に関する心身医学的研究 : 第2編 ピークフローメーターを用いた自覚的呼吸困難感についての検討
入江 正洋久保 千春十川 博木原 廣美川村 治子手嶋 秀毅中川 哲也
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1991 年 40 巻 11 号 p. 1384-1390

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抄録

16例の気管支喘息患者を対象として, visual analogue scaleとミニライトピークフローメーターを用い, MDIによるβ_2刺激剤吸入時の呼吸困難状態や, 吸入前後での患者の自覚的呼吸困難の改善度と客観的改善度との相違を心身医学的に検討した. 他覚的に改善が認められるにもかかわらず, 自覚的には過少評価をする症例は3例で, いずれも神経症型であった. 他覚的にはほとんど変化がないのに増悪したと自覚する症例は2例で, 神経症型と心身症型であり, 逆に良くなったと自覚する症例は1例で, 神経症型の症例であった. また, 重症化している症例は, かなりPEFRが低下した状態でMDIを使用していた. 従って, 吸入回数が過剰になったり, 処置が遅くなったりしないためには, このような患者の性格傾向も含めた吸入療法の実践が重要である.

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© 1991 日本アレルギー学会
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