アレルギー
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CandidaによるPulmonary Infiltration with Eosinophilia Syndromeの1例
宮川 秀文横田 聡梶本 和宏槙本 晃佐藤 恭名部 誠多田 慎也木村 郁郎
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1992 年 41 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

症例は66歳の女性で, 25年間気管支喘息として冶療されていたが, 呼吸困難, 好酸球増多, 胸部レ線での浸潤影のため当科へ入院となった. 浸潤影は左肺から右肺へと移動し, 右中葉の無気肺となった. 喀痰培養では, Candida albicansのみ認められた. 免疫学的検査では, 高IgE血症を認め特異的IgE抗体はCandidaには高値を示したがAspergillusには低値であった. 沈降抗体はCandidaのみ陽性であった. 更に, リンパ球幼若化反応ではAspergillus fumigatusを初めとする他の真菌類に比べ, Candida albicansで高値を示した. 当症例の臨床経過と検査成績は, 原因抗原としてのAspergillusをCandida ablicansにいれかえれば, RosenbergによるAllergic bronchopulmonary aspergillosis (ABPA)の診断基準を満たす. PIE症候群の病態に関しては種々の抗原に対するアレルギー反応が報告されているが, 当症例においてはCandidaa ablicansがPIE症候群の病像を形成するうえで重要な役割を果たしていると考えられ, allergic bronchopulmonary candidiasis (ABPC)と呼ぶべき症例と考えられた.

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© 1992 日本アレルギー学会
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