1992 年 41 巻 12 号 p. 1664-1671
近年, 気管支喘息の病態における好酸球の役割が明らかになりつつある. 好酸球の増殖, 寿命延長に関与するGM-CSFに注目し, 気管支喘息患者の末梢血単核球のGM-CSF産生能を検討した. 末梢血単核球培養上清中のGM-CSFは, 健常人 (n=6), 他疾患患者 (n=13) では, 測定限界以下であったが, 気管支喘息患者 (n=12) では, 無刺激で12人中3人, IL-2刺激で12人中5人で検出された. また, ステロイド使用の喘息患者 (n=6) では, IL-2刺激で, 6人中1人に低濃度のGM-CSFが検出されたのみであったが, 非使用中の喘息患者 (n=6) では6人中4人で比較的高濃度のGM-CSFが検出された. IL-2刺激下での単核球培養の際に, in vitroでプレドニゾロンを添加しても同様の結果が得られた. さらに, 気管支喘息患者の単核球培養上清中にみられた好酸球寿命延長活性は抗GM-CSF抗体処理により抑制された. 以上の成績より, 気管支喘息患者では, 単核球のGM-CSF産生能が増強しており, これは気管支喘息の病態に何らかの関与をするものと考えられた.