1992 年 41 巻 12 号 p. 1679-1686
冬季の乳幼児下気道感染症において, RSV感染の臨床症状および喘息との関わり合いについて検討した. 1988年〜1990年の冬季3シーズンに下気道感染症で入院した2歳未満の233人についてRSV抗原検索を行い, 約半数にRSV感染が証明された. RSV感染症では, 喘鳴を71.6%に認め, ウイルス感染マーカーの血清2-5AS値は高く, 細菌性炎症反応所見に乏しく, 特にmajor allergyの家族歴をもつ場合には, 喘鳴をきたしやすく, 後に喘鳴を反復しやすい傾向にあった. 以上のことから, RSV感染症は喘鳴症状を呈することが多く, 特にアレルギー素因のある児ではその後喘鳴を反復しやすくなることから, RSV感染症と乳児喘息の発症との間に関連があることが考えられ, 十分な経過観察が必要であると思われた.