アレルギー
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血液中のEosinophil Cationic Protein (ECP) 測定に関する基礎的条件の検討
栗原 和幸山田 節斎藤 博久飯倉 洋治
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1992 年 41 巻 4 号 p. 512-518

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抄録

好酸球顆粒蛋白の一つであるeosinophil cationic protein (ECP) がradioimmunoassayキットにより容易に測定できるようになったが, 血液検体中のECP濃度は検体の処理方法により大きく異なる. 我々は血清と血漿との比較, 採血から分離までの時間や温度の影響などについて詳細に検討した. 血清, ヘパリン血漿では, 分離までの時間とともにECP濃度は2時間まで上昇し3時間では減少した. この上昇はin vitroでの好酸球からのECP遊離によると考えられる. 血清中のECPは温度の影響を受け37℃>25℃であった. 一方, EDTA血漿ではECP濃度に有意な変動はなく, この濃度はin vivoですでに血液中に遊離していたECPの濃度と考えられ, ECP濃度は血清>ヘパリン血漿>EDTA血漿の順であった. 血清ECPと末梢血好酸球数との間には正の相関関係が認められたがその程度は弱く (r=0.466, 0.05>P>0.01), ECPのreleasibilityが個々の好酸球の活性化の程度により異なることを反映している可能性が考えられた.

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© 1992 日本アレルギー学会
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