東京都および大垣市の2地域において, 小児の気管支喘息患者の受診数をもとに, 受診頻度と気象因子との間の相関関係を分析し, 両地域の比較検討を行った. 1) 両地域において年間の気象の変動を数量的にみると, きわめて似通った推移を示すことが明らかとなった. 患者受診数の変動も, それぞれの地域における絶対数の相違にもかかわらず, 1日毎の変動は酷似していた. 2) 多変量解析 (数量化理論II類) を含む統計学的分析によれば, 患者受診数が多くなるのは, 両地域とも高温, 高蒸気圧と有意に相関関係を有し, 高湿度, 高気圧も一定の関係のあることが示されたが, 両地域ともに有意の相関関係を示していたわけではなかった. 風向については東京では北方向からの場合に受診者数が多く, 有意の相関関係を示したが, 大垣の場合は逆に南方向からの場合に受診者数が多く, 有意であった. 降水, 雲量については, 両地域とも全く相関関係を示さなかった.
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