アレルギー
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抗原添加単核球培養上清中好酸球遊走活性に及ぼすサイクロスポリンA, FK-506の効果
阿久津 郁夫福田 健牧野 荘平
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1992 年 41 巻 7 号 p. 778-786

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抄録

気管支喘息の特徴の一つである気道粘膜内好酸球浸潤におけるリンパ球の役割を検討するため, ダニ抗原陽性喘息患者の末梢血単核球を抗原存在下で培養すると, 好酸球遊走活性 (ECF活性) が認められることを既に報告した。今回このECF活性が, 細胞性免疫抑制剤であるサイクロスポリンA (CyA), FK-506 (FK) により抑制されるか否か, またその抑制機序について検討した. 単核球培養液中にCyA, もしくはFKを添加して得たECF活性は非添加時に比し有意に減少した. また, 本培養系にIL-2を十分添加してもこの抑制傾向に変化は認めなかった. さらに, 培養上清を等電点電気泳動にて分画し, 各分画のECF活性を測定した結果, そのピークはpH7.0〜7.5に認められ, これはCyA処置で抑制された. 以上より, 喘息患者の気道内好酸球浸潤にはリンパ球由来因子が関与し, その抑制に免疫抑制剤の有用性が示唆された.

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© 1992 日本アレルギー学会
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