1992 年 41 巻 7 号 p. 772-777
吸入療法施行時に, 噴霧された薬液の濃度変化を知る目的で, 超音波ネブライザーOMRON NE-U10Bと, 大容量のジェットネブライザーINSPIRON NEBULIZER 002305について薬液漕内の残留薬液とaerosol回収液の濃度を経時的に測定した. 超音波ネブライザーでは, 0.9%NaCl溶液, DSCG, isoproterenolともに残留薬液濃度が時間とともに上昇し, これに並行してaerosol回収液の濃度も上昇した. 濃度上昇は, 薬液終了直前に特に急激にみられた. DSCG, isoproterenolの分解産物は検出されず, これらの薬剤は超音波ネブライザーに対しては安定であると思われた. 一方, ジェットネブライザーによっても残留薬液に濃度上昇がみられ, aerosol回収液濃度もそれに並行して上昇したが, 薬液漕内の濃度と比べると常に低濃度であった. 吸入療法の施行に当たっては, これらの濃度変化に留意し, 特に薬液の継ぎ足しの危険性を考慮する必要があるものと考えられる.