アレルギー
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カゼイン加水分解乳の抗原性カゼイン加水分解乳に感作されて消化管アレルギー反応を呈した症例における感作アレルゲンの検討
下条 直樹清水 直樹平野 清美河野 陽一新美 仁男
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1992 年 41 巻 9 号 p. 1413-1418

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抄録

カゼイン加水分解乳は, 低抗原性でミルクアレルギーの治療に用いられる. 今回我々は, ミルクアレルギーの治療乳として用いたカゼイン加水分解乳により新たに感作され, 消化管アレルギーを呈した6カ月の男児を経験した. enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) 法により本患者の血清中には, カゼイン加水分解乳に対するIgE抗体が検出されたが, 脂肪無添加のカゼイン加水分解乳に対するIgE抗体は認められなかった. この結果をin vivoで確認するために, 抗原の経直腸投与による直腸粘膜細胞診における好酸球および肥満細胞の出現を検討した. アミノ酸乳および脂肪無添加カゼイン加水分解乳の投与では直腸粘膜スメアに好酸球および肥満細胞は出現せず, カゼイン加水分解乳の投与により好酸球, 肥満細胞数が有意に増加した. 以上の結果から, 本患者の消化管アレルギーの原因抗原はカゼイン加水分解中の脂肪に含まれる成分であることが強く示唆された.

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© 1992 日本アレルギー学会
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