アレルギー
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気管支喘息児における運動負荷前後の病態に関する研究 : 第9編 末梢血好酸球の比重分布および電顕像に関する検討
山田 節三島 健飯倉 洋治
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1993 年 42 巻 5 号 p. 617-627

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抄録

EIAの機序を好酸球の機能の面から知見を得る目的で, 運動負荷試験における末梢血好酸球の数値, 比重および電顕像について運動負荷の前後で経時的に測定した。喘息児20名, 健常児6名を対象とし, EIA陽性群は12名でEIA陰性群は8名であった。好酸球の比重分布は, EIA陽性群の方が, 1.0825g/ml以下の好酸球数が, 運動負荷15, 30, 60分後において有意に多かった。また比重分布の経時的な変動は, EIA陽性群において, 運動負荷前と比較して連動負荷15, 30, 60分後において1.0825g/ml以下の好酸球が増加する傾向が認められた。電顕像では, EIA陽性群において運動負荷後に特異顆粒のmatrixの脱顆粒像が多く認められた。またEIA陽性群において, 連動負荷前既に特異顆粒細胞質面積比の有意な低値および脱顆粒細胞質面積比の有意な高値を認め, 運動負荷30分後に負荷前と比較して脱顆粒細胞質面積比の有意な高値を認めた。これらの結果からEIA陽性群の好酸球は, 運動負荷に対して比重分布, 形態の経時的変化が異なることから, 運動負荷前に既にactivateされていることが示唆された。

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© 1993 日本アレルギー学会
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