1994 年 43 巻 4 号 p. 585-589
B型肝炎を伴い慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(以下CIDP)を発症した41歳, 男性症例についてウエスタンブロット法, 免疫組織化学法等の免疫学的方法を用いて末梢神経障害の発症機序について検索をした. 患者末梢神経中に免疫グロブリン, 補体の沈着はなく, ウエスタンブロット法にて患者末梢神経中にHBs抗原の存在が証明され, 従来言われていた免疫複合体を介した機序とは異なり, 細胞障害性T細胞(CTL)により末梢神経障害を引き起こした事を示唆する知見であると考えた.