1995 年 44 巻 3-1 号 p. 170-181
ダニ喘息、患者血清に対する反応を用いて, ダニ培養中に含まれる抗原成分を検索した結果, 従来言われている主要なダニアレルゲンよりもさらに高分子量の画分に, 患者血清に特異的に強い反応性を示す成分の存在を確認し, それを2回のゲル濾過及びイオン交換クロマトグラフィによって6画分に分画した. この6画分の分子量は約150〜155KDであった. さらに泳動後のイムノステイニングでは HM1-2-1Mを除く5画分がダニアレルギー患者IgEと強く反応した. これらの画分は1ng〜10ng/mlの濃度で患者の洗浄血球から最大ヒスタミン遊離率を示した. さらにHM1-2-0.3A画分はTセル活性化能を有していた. これら6画分はさらに皮内反応テスト, ニトロセルロース膜上でのダニ喘息患者血清IgE反応性等から, ダニ喘息患者の多数例が特異IgE抗体を持つ新しいアレルゲンであると考えられた.