アレルギー
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アスピリン喘息とステロイド薬過敏症に関する検討 : アンケート調査と問診による非ステロイド性消炎鎮痛薬過敏症の実態とステロイド薬過敏症との関連について
榎本 貴子岡田 哲朗市橋 浩司堀越 正二郎松浦 崇行今井 俊道美田 俊一足立 満三浦 宜彦
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1995 年 44 巻 5 号 p. 534-539

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抄録

われわれはアスピリン喘息の臨床像とステロイド薬過敏症の実態を把握するため, 気管支喘息患者850名にアンケート調査と問診を行い, 有効回答数457名を非ステロイド性酸性消炎鎮痛薬 (non-steroidal anti-inflammatory drugs, 以下NSAIDs)に対し過敏歴のある患者群(asthma sensitive to NSAIDs, 以下ASN群)と過敏歴のない患者群(非 ASN群)に大別し, 諸項目につき両群間で比較検討を行った. アンケート調査の結果, ASNは全体の12.0%を占め, 重症になるほどその頻度は増加し, 重症例の29.0%がASNであった. 非ASN群に比して女性の比率が高く, 感染型, 重症例, 経ロステロイド薬使用例, 救急受診歴, 救急車利用歴, 入院歴のある症例およぴ血清IgE値低値例が有意に多かった. ステロイド薬過敏歴のある症例はASN群のみに6名認められ, ASN患者の10.9%, 全喘息患者の1.3%を占めた. 6名中5名はコハク酸エステル型により, 6名中2名はリン酸エステル型ステロイド薬の急速静注により発作の増悪が認められた. 以上より, 気管支喘息発作の治療の際にアスピリン喘息患者にはもちろん, 重症例でアスピリン喘息が疑われる症例に対してはステロイド薬の急速静注は避けることが望ましいと考えられた.

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© 1995 日本アレルギー学会
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