アレルギー
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慢性喘息患者の喀痰中細胞へ及ぼす静注ステロイドの早期効果について
前田 裕二斉藤 博士秋山 一男長谷川 眞紀早川 哲夫金子 富志人信太 隆夫宮本 昭正
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1995 年 44 巻 9 号 p. 1111-1116

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抄録

ステロイドは喘息治療に重要な薬物であるが気道の炎症細胞へどのように作用するかについては良くは知られていない. 成人慢性喘息患者の急性増悪11例において静注ステロイドおよびアミノフィリンの治療前および治療2〜3時間後の喀痰細胞について検討した. 生細胞数, 上皮細胞, 好塩基性細胞, マクロファージおよび好中球数は治療前後で変化はみられなかった. リンパ球数は治療前3.3±6.5%, 後は2.6±2.0%であった. CD4+, CD25+ともに陽性の細胞(CD4+/CD25+)は治療前0.7±0.5, 後は1.2±0.9%, CD8+/CD25+細胞はそれぞれ0.4±0.4, 0.6±0.5%であった. これらの変動は有意ではなかった. 好酸球比率は減少しなかったがEG1+/EG2+細胞は6.7±7.8から4.3±5.2%と有意に(p<0.05)減少した. 活性型Tリンパ球(CD25+)が減少しなかったことを考えると活性型好酸球が減少したのは治療により組織内好酸球がサイトカインヘ反応しなかったことによる可能性が考えられた.

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© 1995 日本アレルギー学会
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