アレルギー
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乳児期アトピー性皮膚炎患者におけるダニアレルゲン特異的リンパ球増殖反応の亢進
木村 光明鶴田 悟吉田 隆実
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1997 年 46 巻 1 号 p. 34-41

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抄録

アトピー性皮膚炎患者のダニアレルゲン特異的リンパ球増殖反応をフローサイトメトリーで測定した. アトピー性皮膚炎患者のダニS.I.F. (stimulation index measured by flow cytometry)値は全年齢を通して非アトピー対照より高値であり, アトピー性皮膚炎発生と何らかの関連があることが示唆された. 乳児アトピー性皮膚炎患者のダニIgE-RAST値は年長患者より低いがダニS.I.F.値は逆に年長患者より高値であった. 1歳以上のアトピー性皮膚炎患者ではダニS.I.F.値とダニIgE-RAST値との間に有意な正相関が認められ, ダニS.I.F.値にはIgE抗体産生を促進させるヘルパーTリンパ球の活性が反映されていることが示唆される. 乳児ではダニS.I.F.値が亢進しているにもかかわらずダニIgE-RAST値が低値または陰性の症例が存在し, 両者間に正相関傾向は見られるものの有意なレベルには達しなかった. これは, ダニに対するTリンパ球の感作が特異IgE抗体の産生に先行して乳児期にすでに始まっていることを示唆するものと思われる.

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© 1997 日本アレルギー学会
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