アレルギー
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吸気Flow-Volume曲線の検討
成島 道昭冨田 尚吾廿楽 裕河西 富彦遠藤 繁金子 教宏山田 峰彦大塚 英彦秋澤 孝則鈴木 一
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1998 年 47 巻 5 号 p. 493-499

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抄録

気管支喘息など呼吸器疾患に対する吸入療法が注目されている.特に定量噴露器(metered-dose inhaler ; MDI)は広く用いられているが, 実地臨床ではその吸入法の指導の上で吸入流速の問題が大きい.今回, 健常者および気管支喘息を対象に吸入流速について検討した.方法はflow-volume曲線の吸気部分を用いて, 緩徐および急速に吸った場合の吸入流速を測定した.日常臨床でMDI吸入を指導する際, ゆっくり深く吸いなさいと言うだけでは約半分が適切な吸入速度が守られておらず, 特に男性に注意が必要であった.また急速に吸った場合の吸入流速の測定は, dry powder inhaler(DPI)使用の適否を考える上で重要であるが, PEFR, FEV1%, FEV1, %FVC, FVCといった吸気パラメーターとの相関性において男性では肺容量と, 女性では呼気気流制限の指標と相関した.吸気flow-volume曲線の検討は, 吸入療法を実践していく上で, 有益な情報を提供してくれるものと考えられた.

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© 1998 日本アレルギー学会
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