1999 年 48 巻 10 号 p. 1166-1171
小児アレルギー外来に通院中の3歳以上の患者226例を対象として,過去3年間に行ったアレルゲン検査の結果に基づいてスギ,カモガヤ,ブタクサ,ダニの感作率を調べた.対象者のうち,99年3月中に外来を受診した97例については鼻炎症状の有無,および通年性か季節性かについて調べた.各アレルゲンの感作率は,ダニ82.3%,スギ53.1%,カモガヤ38.5%,ブタサク17.1%の順であった.中学生以上では,スギは7割弱,カモガヤも5割以上が感作されていた.季節性の鼻炎症状を示すものは有意に花粉感作率が高かった.しかし,鼻炎症状のないものでも5割以上が花粉に感作されており,疾患内訳ではアトピー性皮膚炎単独例が6割以上を占めた.これらの症例における花粉抗原の関与については,潜在性のアレルギー性鼻炎の存在や今後の鼻炎発症ハイリスク群である可能性,あるいは花粉抗原がアトピー性皮膚炎自体の病態に関与している可能性などを考えて,今後の注意深い経過観察が必要と思われる.