アレルギー
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非ステロイド系抗炎症薬による致死的喘息発作症例の臨床的検討
浅本 仁川上 明佐藤 晋佐々木 義行
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1999 年 48 巻 11 号 p. 1230-1237

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抄録

致死的喘息患者の情報は喘息死の起こり方を知る上に有益である.1986年から12年間に国立京都病院のICUに入院した気管支喘息患者は265症例で,そのうちnon-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs)による増悪と考えられた喘息患者は30名,34症例であった.そのうち6名,8症例(1名が3回入院)が致死的喘息発作として人工換気を受けた.これに対し,NSAIDs以外の原因による致死的喘息発作は13症例で,大部分が気道感染が誘因と考えられた.我々は,この両群の臨床的比較を試みた.NSAIDsによる救急入院者に男女差はなく,末梢好酸球数が高値を示し,多くはアレルギー性鼻炎,鼻ポリープおよび副鼻腔炎を合併した.また,血清血IgEは必ずしも低値ではなかった.NSAIDs群は,non-NSAIDs群に比して呼吸不全の程度が強く,動脈血の炭酸ガス分圧が高く(91.5±16.3 Torr vs 76.3±17.0 Torr),有意に低いpH (7.02±0.14vs7.18±0.07,p<0.05)を示した.しかし,呼吸管理後NSAIDs群がnon-NSAIDs群より有意に早くウイニングすることができた(p<0.01).これらのことから,NSAIDsによる気管支喘息の増悪の多くは突発型に属すると考えられた.

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© 1999 日本アレルギー学会
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