アレルギー
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心理状態の変化に伴って皮疹の著しい変化をみたアトピー性皮膚炎患者の1例 : 心理テスト結果と皮疹およびNatural Killer細胞活性の変動について
相原 道子針谷 毅市川 秀之池澤 善郎
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2000 年 49 巻 6 号 p. 487-494

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抄録
31歳, 男性の重症アトピー性皮膚炎患者で, 仕事のストレスが多い時期の皮疹の悪化と, スポーツによるストレス解消後の皮疹の著しい軽快を認めた.気分や情緒を定量的に評価する心理テストprofile of mood states(POMS)を2週間おきに施行したところ, 心理状態(不安, 抑うつ, 怒り, 疲労, 混乱)の悪化と一致して皮疹の増悪が認められ, 心理状態の改善とともに皮疹は軽快した.また, visual analogue scale(VAS)で患者自身の自己評価によるストレスおよび疲労の程度とかゆみの強さとの間に相関(p<0.001)が認められた.末梢血白血球の検査では, リンパ球数やCD4 / 8比の変動はみられなかったが, 心理状態の悪化とともにNK細胞活性が低下し, 心理状態の好転とともにNK細胞活性も回復傾向を示した.アトピー性皮膚炎患者のなかにはストレスが重要な悪化要因となる症例があることが示され、症例によっては従来の治療に加えて心身医学的治療が必要とされることが示唆された.
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© 2000 日本アレルギー学会
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