2002 年 51 巻 1 号 p. 1-8
当院で, 全身麻酔下の外科手術を受けた気管支喘息患者について, 術前の喘息発作予防処置と術中術後の喘息発作について調査した.【対象と方法】過去6年間に当院外科, 整形外科, 泌尿器科で全身麻酔下の手術を受けた気管支喘息患者76人を対象とした.対象患者の喘息重症度は軽症24人, 中等症39人, 重症13人であった.【結果】術前の発作予防処置は, 術前処置なし13名, 術前から術中にネオフィリンの点滴8名, 術前から術中に, ネオフィリンとステロイドの点滴52名, 術前数日間ステロイドの点滴3名であった.術中術後の気管支喘息発作は, 術中の発作1名, 術後3日以内の発作3名であった.術中に発作を起こした患者は, 喘息に対する術前の処置がなされていなかった.ステロイド投与による縫合不全等の副作用は認められなかった.【結語】今回の結果より, 気管支喘息患者の全身麻酔下の手術の際には, 術前のコントロールを良好にした上で, 術前のステロイド単回投与が好ましいと考えられた.